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岩城 和哉 Kazuya IWAKI
建築家+博士(工学)+東京電機大学教授
Architect / Ph.D / Professor of Tokyo Denki Univ.

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(本ブログ掲載情報の無断複製・転載を禁止します。)

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「札幌遠友夜学校記念館」(仮称) 建築コンセプト設計公募案2014/03/16

「新渡戸稲造と札幌遠友夜学校を考える会」主催の「札幌遠友夜学校記念館」(仮称) 建築コンセプト設計公募の結果が公表されました。
http://www.akiyama-foundation.org/news/795.html

「札幌遠友夜学校記念館」(仮称) の設立趣旨

明治27年(1894)1月、札幌市中央区南4条東4丁目の地に新渡戸稲造とメリー夫人により「遠友夜学校」が設立されました。 この学校は以後50 年間にわたり貧しい子供たちや勤労青少年たちに無償で教育の機会を与えつづけましたが、戦争末期の昭和19年(1944)年3月に閉校になりました。 戦後 の紆余曲折を経て、今、この跡地は公園に生まれ変わろうとしています。この記念すべき土地にできる公園の一隅に、新渡戸稲造夫妻の博愛精神と遠友夜学校の 活動を記憶し、札幌のこの貴い歴史を次世代に伝えていくために「札幌遠友夜学校記念館」(仮称)を設立する運びになりました。 町内の人々、札幌の人々、全 国の人々、そして世界中の人々が公園の一隅に建つこの記念館に来て集い、互いに啓発し交流する場に致したいと思います。
(募集要項より抜粋)

結果は、残念ながら落選。以下、応募図面と設計趣旨です。





「札幌遠友夜学校記念館」(仮称) 建築コンセプト


1.曲面の壁と開口 / ラウンド・シェイプ Round Shape

建物の外観上の特徴は、曲面の壁と公園側に設けられた曲面の開口です。これは教育の機会を得られない人々を温かく迎え入れ、優しく包み込むという遠友夜学校の包容力やホスピタリティの精神を建築的・空間的に表現したものです。夜学校同様にこの記念館も訪れる人々を温かく迎え入れ、優しく包み込むような場所になってほしいと考えました。


2.木の架構 / ティンバー・ストラクチャー Timber Structure

内部空間の第1の特徴は、木の架構です。人々を温かく迎え入れ、優しく包み込むための素材として木は最適な素材のひとつです。木は弱い素材ですが、その組み方を工夫することで丈夫な架構を作ることができます。弱いがゆえにひと工夫が必要であり、それがかえって豊かな空間を生み出します。それは社会的弱者を受け入れ、教育して社会に送り出した夜学校の在り方と重なる部分があるように感じました。また、木は柱、梁、床、壁、窓枠、家具、本棚とさまざまなスケールと部位で使用可能であり、空間全体に落ち着いた雰囲気をもたらしてくれます。それは新渡戸氏の文体から感じ取れる落ち着きに通ずる質感のようなものではないかと考えました。


3.ひとつながりの多様な空間 / シンプル・アンド・マルチプル・スペース Simple and Multiple Space

内部空間の第2の特徴は、ひとつながりの多様な空間です。機能上、必ずしも壁でしっかりと区切る必要がない部屋については、本棚や柱や吹き抜けを利用して空間を緩やかに仕切ります。ひとりでいることと、みんなでいること、このふたつのバランスを重視して人と人との適切な距離感をつくりだします。イベントや集会のない静かな日常の中で、目的をもって訪れた人やふらっと立ち寄った人が思い思いに時間を過ごせるようなスペースを館内に分散的に設けつつ、中央の吹き抜けがそれぞれのスペースを立体的につなぎます。訪れた人どうしの偶然の出会いや無意識の接触の機会を増やすことで、この記念館が人と人の新しいつながりを生み出す場所になればと考えました。


4.光の柱 / ライト・コラム Light Column

内部空間の第3の特徴は、南隅に設けられた吹き抜けです。上部にはガラスのトップライトがあり、そこから柔らかな天空光が曲面の壁を伝って内部に降りてきます。遠友夜学校の創立者である新渡戸稲造氏の意思や精神を象徴するような何かが欲しいと考え、たどり着いた答えがこの光の柱です。エントランスから建物に入って南隅を見ると、そこにはいつもこの光の柱があります。光の柱は天空へと伸びて新渡戸氏の精神とつながっているようでもあり、あるいは、新渡戸氏の精神が光となってこの記念館を見守っているかのようでもあります。時代が変わり、訪れる人が変わっても、変わることなくいつもそこにあるような静かなシンボルとして光の柱を提案します。




オーストラリアハウス設計競技応募案2011/09/28

 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレにおける日豪交流の拠点であり、オーストラリア人アーティストの滞在・制作・発表や日豪の共同プロジェクトの場となる「オーストラリア・ハウス」の設計競技応募案です。

 イタリア人建築家のマルコ・ポンピリ、スイス人キュレーターのカーン・トリン、オーストラリア人アーティストのスー・ペドレー、そして日本人建築家の僕によるコラボレーション・チームTIPPとして応募しました。

 われわれのアイデアは、越後妻有の住宅に特徴的な屋根頂部の雪割りと高床をオーストラリアのイニシャルAと組み合わせたpointed-A(先端の尖ったA)をデザインモチーフに全体を構成するというものです。4人のイニシャルからとったチーム名TIPPも先端(tip)という意味をかけています。

 かなり面白いメンバー構成と意欲的な設計案でしたが、残念ながら審査員である安藤忠雄、トム・ヘネガン、北川フラム3氏の心を掴むには至りませんでした。

 以下、設計趣旨です(英語です)。

1) Design Motif :
Snow-cutter rooftop + Raised-floor + Initial A = Pointed-A

We propose Pointed-A as a design motif for the Australia House. It consists of 3 elements: snow-cutter rooftop(yuki-wari), raised floor(taka-yuka) and initial 'A' of Australia.
 Snow-cutter rooftop and raised floor are characteristic devices for houses in the Echigo-Tsumari region, which experiences extremely heavy snowfall each winter. These regional elements are reflected in the letter 'A'.
 Pointed-A motif is utilized repeatedly in elevations, sections and structures of the building. Combined with the letters 'USTRALIA HOUSE', Pointed-A elevations function as signs. Pointed-A structures are arranged along a curved line in such a way to enclose an exterior plaza. The scale of each section changes in response to spatial characters and functions. Snow-cutter rooftop is combined with skylights, providing additional light source for the interior.


2) Pointed-A as a symbol of regeneration

We propose that Pointed-A motif is an appropriate symbol of Japan’s recovery from the earthquake.
The shape of 'A' shows hands put together in prayer, symbolizing the deepest sorrow for the dead and our hope for peace. It also shows two elements supported each other, symbolizing the cooperation of people. And being the first letter of the alphabet, 'A' can symbolize a new beginning.


3) Engawa-steps

Taking the inspiration from the 'Engawa' of traditional Japanese houses, which functions as an informal entrance and a place to exchange news with neighbours, we propose a spatial device named Engawa-steps. It provides a smooth transition from the building to the plaza and can function as informal meeting place between resident artist(s) and local community.


4) Environmental Considerations

Windows, terraces and court are arranged for providing comfortable wind flow & natural light into the interior. Raised floor is effective not only for snowfall in winter but for humidity in summer.
Solutions by equipment are evolving day by day. In actual design stage, based on detailed simulations, appropriate solutions will be selected.

小石川植物園フェンス・デザインコンペティション応募案2011/09/28

 東京大学付属小石川植物園の666mに及ぶ長大な塀のリニューアルコンペの応募案です(小石川植物園フェンス・デザインコンペティション公式サイト http://www.koishikawa-competition.jp/

 その長大な(日常では滅多にお目にかかれない)塀の長さを長所として活かし、666mのプランターをフェンスとして用いる提案です。植物学者、フラワーアーティスト、グラフィックデザイナー、地域住民、等々のコラボレーションによって、生きた展示の場となることを意図しました。設計趣旨は以下の通りです。


*設計趣旨1 景観ポテンシャルを活かす/植物群

 まず第一に、単体としての塀のデザインにとどまらず、この場所の街路景観を総合的にデザインするという視点が重要であると考えました。そこで既存環境の備える景観要素としての潜在能力(景観ポテンシャル)を最大限に引き出すための塀のデザインについて検討を行いました。
 この場所の街路景観の特徴は、言うまでもなく塀の背後に見え隠れする植物群にあります。それらが景観要素として最大限活かされるような塀のデザインの原則を以下に提案します。
1)水平性
 植物群の垂直性を対比的に引き立てるために、塀は徹底的に水平性を強調したデザインとします。
2)無彩色
 季節ごとに多彩に変化する植物群の色彩を引き立てるために、塀の素材・色彩は無彩色に統一します。
3)可視性
 塀としての機能を損なうことなく、街路から内部の植物群の様子がうかがえるよう、塀の高さや開口形状を検討します。


*設計趣旨2 景観ポテンシャルを活かす/666m

 植物群と並んでこの街路景観を特徴づけているものが長い塀(666m)です。長い塀は通常、景観的にマイナス要因となります。しかし、この長い塀は他にはない、この場所の特徴でもあります。そこで、この666mという長さをプラス要因として活かすための塀のデザインを以下に提案します。
1)フローティング・プランター
 プランターが侵入・落下防止の機能を担います。666mに及ぶプランターには季節の植物が植えられ、背後の樹木の前景として街路空間に彩りを与えます。ランドスケープ・デザイナーやフラワーアーティストとの協働も可能です。
2)植物絵巻
 持ち上げられたプランターと塀のすき間は666mの横長の開口となります。この開口をのぞきつつ歩を進めると、絵巻物を見るように植物園内の多様な植物の様子が展開します。
3)365枚の銘板プロジェクト
 666mという長さを利用して、植物や植物学に関する銘板を設置するスペースを塀のデザインに組み込みます。

*365枚の銘板プロジェクト/365 Communication Plates Project

 666mという長さを利用して、植物や植物学に関する銘板を設置するスペースを塀のデザインに組み込みます。例えば、1.8mごとに設置スペースを確保すると、1年間の日数に合わせて365枚の銘板を設置することができます(銘板は別途工事)。
 銘板に記載する内容は、例えば、365種類の植物の図と名称など。子供たちは1日にひとつの植物を覚え、1年間でこのフェンスのすべての植物を覚えることができます(1日1草)。あるいは、植物学の進展に寄与した人物や学説とそれを示す図を記載してもよいかもしれません。例えば、左図に示すようなゲーテの原植物の図など。
 簡潔な説明に加えてQRコードを付記すれば、携帯電話で即座に記載されている植物や図の詳細情報や解説を見ることもできます。銘板の記載内容のアイデアを一般から募集したり、来園者の寄付によって銘板設置費用をまかない、1枚ずつ時間をかけて設置したりするなど、周辺住民との交流の中でこのプロジェクトを進行することも可能でしょう。


*設計趣旨3 語りかける塀/Communication Fence

 塀に求められる機能は隣接するふたつの領域を仕切ることにあります。それゆえ、塀には往々にして拒絶するような表情が与えられ がちです。この拒絶の表情が666mも続くことによって、現在のところ、この場所の街路景観はきわめて無味乾燥なものになってしまっています。
 しかし、本提案で示すような景観ポテンシャルを活かすためのデザインを施すことによって、「拒絶する塀」は「語りかける塀」へと生まれ変わります。
 植物園の樹木はこれまで以上に鮮明かつ積極的に街路景観の構成要素としての役割を果たし、自然独特の安らぎ感や季節の彩りを街路空間に提供してくれます。
 塀の一部をなすプランターに植えられた草花は666mに及ぶ長さを活かした他にはない個性的な表情を見せ、この街路空間に活気を与えてくれます。
 さらに、365枚の銘板プロジェクトは周辺住民と一緒につくりあげる情報発信プロジェクトであり、塀そのもの、さらには植物園に対する人々の愛着を促す役割を担います。

DOMINO SPIRAL 代官山インスタレーション2011応募案2011/08/26

 代官山インスタレーション2011応募案。2年に1度開催されるイベントで、毎回、応募していますが、なかなか縁がないようで、今回も採用には至りませんでした(画像をクリックすると拡大します)。

 今回は「代官山らしい」ベンチについて提案しました。「自分の居場所を確保しつつ、適度な距離感で他者と空間を共有する」という空間の在り方は、現代の多くの建築家が取り組んでいる主題でもあります。それをベンチという最小限の空間装置で実現するという提案です。以下、設計趣旨です。


DOMINO SPIRAL

 もし、代官山のまちの中に置かれるベンチをデザインするとしたら、それはどんなかたちをしているでしょう? 代官山というまちの特徴を作品化するにあたって代官山らしいベンチについて考えました。

 いくつかのパターンを比較したところ、スパイラルが一番「代官山的」であるとの結論に至りました。割と単純なかたちであるにも関わらず、座る位置や方向、周りの人との距離の取り方など、選択性あふれています。

 また、求心的であるにもかかわらず、閉じた窮屈な感じはありません。こんなベンチであれば、座る人がそれぞれ自分にとって心地よい場所を見つけることができそうな気がします。そのあたりが代官山というまちの持っている雰囲気とあっているのかもしれません。

 このベンチが実現したら、実際に人々がどんなふうに座るのかを逐一観察し、その記録もまた作品の一部として展示したいと目論んでいます。

コンペ応募案 上州富岡駅舎設計提案競技2011/06/13

 富岡製糸場で有名な富岡市の玄関口、上州富岡駅舎の設計提案競技の応募案です。応募総数359。先ほど、1次審査結果が発表されましたが、残念ながら我々の案は2次審査進出なりませんでした。設計趣旨は以下の通りです。


◇富岡製糸場(世界遺産)の玄関口にふさわしい駅舎空間について

 富岡製糸場の本質は複数の異質のモノを組み合わせ一つの目的を成す<混成hybrid>のデザインにあります。日本の伝統養蚕技術とフランス式機械製糸技術の<混成>はもちろん、木骨煉瓦造、和洋折衷(煉瓦+瓦、煉瓦+漆喰目地)等の建築技術の<混成>にそれは端的に表現されています。地元のモノと外から移入したモノを見事に統合することで他に類を見ない独自のモノを創造する<混成>のデザインこそ、上州富岡駅舎にふさわしいと考えました。

 私達は<混成>のデザインを構成する地元のモノとして、富岡製糸場の繰糸場を選びました。選定理由は以下の通りです。第1にだれにでもわかりやすい富岡を代表する地元のモノであること、第2にその空間が極めて魅力的であること、第3に駅舎に博物館的な役割を重ねることで機能的<混成>を実現できること。

 具体的には、1)繰糸場のレプリカを想定し、2)それを敷地幅に合わせて<半割>にします。続いて、3)敷地長に合わせて90mでカットし、4)残りの部分は環境広場に礎石を並べることでその痕跡を示します。以上の操作で駅舎空間の屋根面、南面、東面の3面が地元のモノ(繰糸場レプリカ)で覆われます。

 そこに外から移入したモノを<混成>させます。素材に関しては木、煉瓦、瓦、漆喰に対して、鉄、ガラス、金属、コンクリートを<混成>させます。構法に関しては部材の分節的かつ凹凸のある構成に対して、複数の部材を連続的かつフラットに構成する方法を<混成>させます。この方法により駅舎空間の床面、北面、西面が現代的デザインを施された新たなモノで覆われます。

 特に<半割>切断面(北面)にはガラスによる新たな皮膜と鉄骨による新たな構造を設置します。ゴシック建築のステンドグラスとフライング・バットレスの関係のように、鉄骨はガラス面の外側に置かれ、内部ではシームレスなガラス面が現れます。そして、このガラス面に<半割>の繰糸場レプリカが反射することで、実像と虚像の<混成>による繰糸場の全体空間が姿を現します。

◇富岡製糸場の最先端追求の気概を継承した構造デザインについて

 繰糸場レプリカを<半割>し、その切断面に新たに鉄骨の骨組みを組み合わせることで<混成>の構造を実現します。特に90mの長さで切断された西面ではこの<混成>の架構が露出され、駅舎のデザインを特徴づける重要な要素となります。

◇駅を中心とした人に優しい地域拠点について

 空間配列上、西端を塞いでしまう駐輪場を1.2m半地下に埋めることで、その上(GL+1.8m)に環境広場や山並みを一望できるラウンジとテラスを設けます。さらにトイレ上部(GL+2.7m)に駅舎空間を一望できるロフトを設け、それらをスロープでつなぎます。ラウンジやロフトは市民の皆さんとの話し合いで使用方法を検討し、にぎわいあふれる拠点となるような設えを施します。

◇コスト縮減や維持管理の配慮について

 私達の提案する駅舎の特徴は、富岡製糸場と同様に1スパンのユニットを反復して全体を構成する点にあります。したがって、イニシャルコストについては、ユニットあたりのコスト管理と同一部材の反復使用によるスケールメリットを活かした計画的なコスト縮減が可能です。
 ランニングコストについては、長さ90mの一体空間であるため、特に空調コストに関して慎重な検討が必要です。駅舎頂部の換気ガラリを利用した空気の流れや局所冷暖房の効率的利用のシミュレーションを行い、一体空間でありながらも快適な環境を実現します。また、北側の大きなガラス面については光触媒等の処置によって降雨によって埃等が自然に洗い流される方法を検討し、維持管理コストの縮減をはかります。

(舞総合設計+東京電機大学岩城研究室)

コンペ応募案 新山口駅表口駅前広場整備設計プロポーザル2011/06/13

新山口駅表口駅前広場整備設計プロポーザル応募案です。応募総数119。二次審査進出6者。残念ながら二次進出ならず。設計趣旨は以下の通りです。


新山口駅表口駅前広場 整備設計プロポーザル


IPS指標(本業務への取組方法)

 本計画の要求課題に対して私達が提案するデザインの妥当性を判断するために、IPS=identity(個性・価値)+prosperity(にぎわい)+sustainability(持続可能性)という3つの指標を設定します。
 この指標は隣接する新山口駅北地区重点エリアの整備計画において用いられている指標ですが、本計画においても有効な指標であると判断しました。また、本計画と北地区重点エリアを統一指標で評価することで一貫性のある整備計画が可能となります。
 本プロポーザルにおいて私達の提案が採用された際は、定期的に市民参加によるIPS指標による達成度評価を行い、要求課題に対して満足度の高い駅前広場の実現を目指します。


銀杏広場(課題の解決手法1)

 IPS指標を高度に満足するデザインとして、銀杏広場とペデストリアン・デッキを提案します。多くの駅前広場では中心にロータリーが置かれ、せっかくの広場が車のための広場になっています。一方、ここでは東西に長い敷地の両端にロータリーが配置されているおかげで、中央に人々のための広場を設けることができます。
 まずここに駅前広場の象徴として1本の銀杏を植えます。銀杏は山口市の「木」です。「大木になり、葉は扇形をして、四季のうつろいも身近に実感させる木であることから、山口が存在感のある、より発展した、各地域の特徴を生かしたまちとなることを願い、決定しました」(山口市HP)とあるように、銀杏はこの駅前広場のシンボルツリーに最適です。そしてこの銀杏の木を囲むように銀杏広場をつくります。
 それによって新山口駅は「銀杏の木のある駅」として市民の皆さんや山口市を訪れた皆さんに親しまれます。


ペデストリアン・デッキ(課題の解決手法2)

 次に銀杏広場と自由通路を連続的につなぐために丘のようにうねったペデストリアン・デッキを設置します。自由通路は建物の3階部分に相当する地上6.37mのレベルにあります。このレベルに水平にペデストリアン・デッキを設けると、その高さのために地面との関係が希薄になります。
 そこで可能な部分はできるだけ地面に近づけます。東側は高さ5.435mまでスロープ状にデッキを下げ、バス乗場のシェルターの役割を果たしつつ、既存の自由通路に接続します。線路側のデッキはちょうどSLを見下ろす展望デッキとして活用できます。
 一方、西側はデッキの高さを3.8mまで徐々に下げ、タクシーや自家用車乗場のシェルターを形成します。さらにこのレベルから銀杏広場まで銀杏を囲むようにスロープを設置します。丘のようにうねるペデストリアン・デッキとスロープによって、自由通路と銀杏広場は連続的につながります。スロープの勾配は1/12以下に抑えることができるので、だれでもこの人工的な丘を気軽に移動することができます。銀杏広場とペデストリアン・デッキの床はウッドデッキで仕上げます。
 さらに主階段、エスカレータ、エレベータを自由通路正面に設置し、デッキ端部各所に階段を設けます。また、中心の銀杏以外にも、デッキに木陰をつくり季節感を感じさせてくれる木を効果的に植えます。
 丘のようにうねるペデストリアン・デッキ、スロープ、分散配置された階段、デッキを垂直に貫く木々によって立体的な駅前広場が形成されます。銀杏を囲むスロープを歩くと銀杏の木をさまざまな高さから観察することができます。また、銀杏広場はイベント時には立体的な劇場空間や展示空間として様々に活用可能です。
 

コラボレーション(空間の活用における市民との協働)

 上述の通り、設計段階で市民参加のIPS指標に基づいた達成度評価を行うことで、満足度の高い駅前広場を実現することに加えて、ワークショップやシンポジウムを通じた市民の皆さんと協働が不可欠です。
 銀杏をはじめとする樹木の選定、銀杏広場やペデストリアン・デッキの活用方法の想定とそのための設え、地域の催し物との連携、メンテナンスの方法、環境負荷の低減、ユニバーサル・デザインの徹底等、可能なかぎり市民の皆さんとの意見交換に基づいて方針を決定してゆきたいと考えています。

(片渕設計事務所+舞総合設計+東京電機大学岩城研究室)

コンペ応募案 ココチホテル客室デザインコンペその22011/06/13

 ココチホテル沼津の客室デザインコンペ応募案その2。101匹わんちゃんで有名なダルメシアンが温かく?迎えてくれる客室です。設計趣旨は以下の通りです。


Dalmatian : ブチホテル ダルメシアン

 ディズニーの『101匹わんちゃん』の中で、毛皮狂いのクルエラはダルメシアンの子犬の毛皮でコートをつくることを企て、失敗しました。子犬の皮を剥ぎ、毛皮をつくるという行為は到底、容認できるものではありませんが、ダルメシアンのブチ・パターンは確かに魅力的です。せっかくならば、コートではなく、ホテルの客室をこのブチ・パターンで埋め尽くしたらどうなるでしょう?
 題して、「プチホテル」ならぬ、「ブチホテル ダルメシアン」。もちろん、子犬の毛皮を使うのではなく、そのブチ・パターンをグラフィカルにあらゆる仕上材、家具、寝具に施します。具体的なデザインは以下の通りです。

1)断面形状の抽出
 CTスキャンのように、B面からD面方向へ輪切りにした客室の断面形状を抽出します。
2)連続面
 抽出された断面形状にあわせて、床、壁、天井、ベッド、ベンチ、机等を一体化した連続面を形成します。入隅は半径150mm、出隅は半径100mmの曲面とします。
3)ブチ・パターン
 一体化された連続面にブチ・パターンを施します。
4)増幅
 壁面の一部や浴室の扉をステンレス鏡面仕上げとし、ブチ・パターンを増幅させます。
5)仕上材
 想定している仕上材はブチ・パターンを施した特注の天然リノリウムです。実施に際しては、内装制限、予算も含めて要検討です。
6)客室番号
 「101」号室とします。

コンペ応募案 ココチホテル客室デザインコンペ その12011/06/13

 ココチホテル沼津の客室デザインコンペ応募案その1。シマウマが温かく?出迎えてくれる客室です。設計趣旨は以下の通りです。


sima sima

 「流れ」に身をまかせるとき、私たちはある種の心地よさを感じることがあります。例えば、川遊びで浮輪に腰掛け空を見上げながらゆったりとした川の流れに身を預けるとき。あるいは、自転車に跨がり追い風に後押しされながら風と一体となって疾走するとき。
 そんな「流れ」に身をまかせるときの心地よさに近い感覚(流動感?浮遊感?)を想起させるような客室をつくりたいと考えました。そのための具体的な方法を以下に示します。

1)断面形状を抽出する
 CTスキャンのように、B面からD面方向へ30mm間隔で輪切りにした客室の断面形状を抽出します。
2)連続面をつくる
 抽出された断面形状にあわせて、床、壁、天井、ベッド、ベンチ、机等を一体化した連続面を形成します。このとき、入隅は半径150mm、出隅は半径100mmの曲面とします。
3)縞模様をつくる
 連続面を30mmごとにクリアと墨色の二色に染色し、交互に層状に重ねてゆくことで縞模様をつくります。
4)木を素材とする
 連続面の素材は触感のよい木とします。また、その木目は視覚的に流れを感じさせる役割を果たします。
5)縞模様を増幅する
 壁面の一部や浴室扉をステンレス鏡面仕上とし、縞模様を増幅させます。

コンペ応募案 第7回三井住空間デザインコンぺ2011/06/07

 第7回三井住空間デザインコンぺ応募案です。課題は「アクティブシニアの都市住居をデザインする」。課題の内容は以下の通りです。

 ・・・今回は、東京都心にある高層マンション・・・を課題建物として取り上げます。・・・都心を好み、夫婦で住んだり、親子で住んだり、仕事をしたりと、住居に多様な用途を求めるアクティブシニアのための住戸プランを提案してください。子育てが終わり、自分の時間を大切にする方のための住居です。それぞれのライフスタイルに合った生活のベースとなる、資産としても継承できるものです。これらのアクティブシニアのライフスタイルも想定し、都心の立地を最大限生かしたスマートな住まいを考えてください。
 選ばれた最優秀案は、それに基づき実際に建設の上分譲されますので、それを踏まえた魅力を持つ案であるとともに、今後のマンションの可能性を広げるようなプランであることが求められます。

 以上のように、アクティブ・シニアのライフスタイルを想定し、デザインすることが求められている課題に対して、本案ではストライプをモチーフに、対象住戸のスケルトンの断面形状に沿った連続的な内部空間輪郭(床・壁・天井)のラインを30mmごとに設定し、それらを重ねることで空間を現象させるという提案を行いました。
 空間的には魅力的な提案ができたように思いますが、最後までアクティブ・シニアの生活というものが想定しきれませんでした・・・。

コンペ応募案 IFDA 国際家具デザインフェア旭川20102011/06/07

 国際家具デザインフェア旭川2010(IFDA2010)応募案です。六角レンチのような形状の脚が相互に支え合うデザインとなっています。設計趣旨は以下の通りです。


RECIPROCUS (RECIPROCUS_TRI / RECIPROCUS_QUAD )

 建築家ルイス・カーンはかつて、形と機能の関係について「form evokes function(形が機能を誘発する)」という有名な言葉を残しています。カーンの言葉のように、本作品は「reciprocal structure」という形(構造形式)から機能的なアイデアが誘発され、デザインされたテーブルです。
 「reciprocal structure(相互依存構造)」とは、複数の部材が互いに支える/支えられるという相互依存的関係をなすことで成立する構造形式です。本作品では、逆L字型の木製の脚ユニットを3本(TRI)あるいは4本(QUAD)組み合わせ、その上にガラスの天板を置くことでテーブルを形成します。作品名称の「RECIPROCUS(レシプロカス)」は「reciprocal」の語源にあたるラテン語です。
 本作品は脚ユニット(木)、脚接合部材(ステンレス)、天板(強化ガラス)、天板接合部材(ステンレス)によって構成されます。木製の脚ユニットは六角形断面とすることで、鉛筆あるいは六角レンチを連想させるような、修辞的なデザイン操作が加えられています。また、ステンレス製の脚接合部材は、脚ユニットの本数の増減によって変化する接合角度に柔軟に対応するようデザインされ、ボルトによる脱着を可能とします。ボルトの締め付けにはもちろん、六角レンチを用います。
 天板は脚の形状に応じた円形あるいは正多角形のガラスをステンレス製の部材で接合します。透明ガラスを採用することで、「reciprocal structure」の形状そのものをデザイン要素として可視的に表現します。また、天板と脚の角度のずれがテーブルに視覚的な「動き」を与えます。さらに、「reciprocal structure」によって生ずる中心の空洞に応じて、天板に開口を設けるオプションを用意します。この開口は使用目的に応じて、パラソル、植物、照明、PCコンセント等の設置を可能とします。