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岩城 和哉 Kazuya IWAKI
建築家+博士(工学)+東京電機大学教授
Architect / Ph.D / Professor of Tokyo Denki Univ.

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大学の空間から建築の時空へ2012/04/05

 この3月に東京大学を退官された岸田省吾先生著『大学の空間から建築の時空へ』(鹿島出版会)が出版されました。これは20年にわたる東京大学本郷キャンパス整備計画のプロジェクトを中心に大学空間、さらには時間の建築についてまとめられた本です。
 7年間、岸田先生のもとでキャンパス計画に携わった際に担当した工学部2号館、武田先端知ビルが紹介されています。また、岸田先生、千葉学さん、宮部浩幸さんとの座談会、執筆を担当させていただいた海外の大学の解説も掲載されています。

建築設計学第三講義@東京大学 1110072011/10/08

 今年度で東京大学を退官される岸田先生の大学院の講義のため、久しぶりに東京大学を訪れました。講義のタイトルは「設計と研究」。

 設計活動のなかで考えたことを契機として研究を展開するという設計と研究の関係について、前半は電機大着任以前に12年間関与してきた東京大学本郷キャンパスのプロジェクト(設計)とケンブリッジ大学に関する論文(研究)を例に解説しました。

 後半は研究室で取り組んでいる空間作品の創作とその研究への展開について、越後妻有アートトリエンナーレに出品したFRP FABRIC COPSE(設計)を紹介しつつ、アート作品における場所性の問題(研究)について話しました。

 写真は講義の前に訪れた工学部2号館です。東大在籍時に実施設計段階まで関与した思い出深い建物です。旧館を保存改修し、かつての中庭の上に高層棟を建設するというアクロバチック?な構成が特徴です。

U-Tokyo, List of Projects2007/02/01

東京大学本郷キャンパス再開発計画
東京大学キャンパス計画室在籍時の担当作品リスト

【001】本郷キャンパス・マスタープラン1991
【002】工学部1号館改修・増築1993
【003】工学部新2・3号館1995年版(基本構想)1995
【004】公務員宿舎(基本構想)1996
【005】赤門前共同利用施設(基本構想)1996-97
【006】工学部新2・3号館1997年版(基本構想)1997
【007】池ノ平寮・野尻寮(基本構想)1997-98
【008】ATM:本部庁舎+生協第二食堂前+大講堂脇
    +総合研究棟(設計・監理監修)1997-98
【009】屋外スロープ:法文1・2号館(設計・監理監修)1998
【010】案内板・掲示板/正門、農学部正門(設計・監理監修)1998
【011】工学部号館サイン(基本構想)1998
【012】大講堂南広場整備(設計・監理監修)1998-99
【013】附属図書館改修(基本構想)1998-99
【014】工学部2号館改修(設計・監理監修)1998-2000
【015】屋外照明(設計・監理監修)1998-2001
【016】ゴミカート・ボックス(設計・監理監修)1999
【017】工学部列品館中庭改修(基本構想)1999
【018】工学部新2・3号館1999年版(基本構想)1999
【019】屋外スロープ:工学部11号館(設計・監理監修)1999
【020】附属図書館・史料編纂所増築(基本構想)2000
【021】本郷団地言問通り塀改修(設計)2000
【022】武田先端知ビル(設計・監理監修)2000-03
【023】工学部5号館実験室改修(基本構想)2000
【024】工学部新2・3号館2000年版(基本構想)2000
【025】生協第二食堂前ロータリー整備(基本構想)2001
【026】E大学厚生施設計画(基本構想)2001
【027】法文2号館増築(基本構想)2001
【028】安田講堂窓改修(設計・監理監修)2001
【029】安田講堂音響改善工事(設計・監理監修)2001
【030】安田講堂総長応接室改装・家具設計(設計・監理改修)2001
【031】屋外掲示板(設計・監理監修)2001
【032】屋外舗装・植栽整備(設計・監理監修)2001
【033】工学部新2号館(設計)2002-03

U-Tokyo, Master Plan2007/02/01

【作品】東京大学本郷キャンパスマスタープラン
    Hongo campus Master Plan
    The University of Tokyo, 1991-
【設計】東京大学キャンパス計画室+東京大学施設部
【担当】香山壽夫+岸田省吾+萩野紀一郎+千葉学+駒田剛司
    +野上恵子+岩城和哉+他
【参照】SD別冊28号pp.141-155、JA26号pp.162-163
    新建築2000年10月号
【解説】
 1990年代、東京大学では最先端の学術教育・研究のための施設環境整備を目的に、東京大学キャンパス計画の概要および同利用計画要綱が策定された。

 「本郷地区キャンパスと駒場地区キャンパスを基礎として、新たに柏地区キャンパスを加え、これらを「主要キャンパス」とする3極構造を形成する。この3極構造は、教育・研究の将来構想をキャンパス面に投影したものであると同時に、地理的には、一極集中是正の要請に配慮しつつ、各主要キャンパスで行われる教育・研究活動相互の有機的連関を確保するため、日常的往来が可能な距離的範囲内で、比較的便利な交通手段も存在する位置に主要キャンパスを配置しようとするものである。」(東京大学キャンパス計画の概要より抜粋)

 この三極構造のもとで各キャンパスにおいて利用計画要綱が策定された。内田ゴシックと呼ばれるスクラッチタイルの建物群がその骨格をなす本郷キャンパスでは、現状の良好な環境やアカデミックな雰囲気を保持する一方で、先端的な研究教育に不可欠な床面積を確保するという対立的命題を満たすために、保存建物、公共空地、緑地軸、地区区分、共用施設、全体計画図、再配置図という7つの整備概念が導入され、長期的な視点からの整備の方向性が定められた。

U-Tokyo, Eng. Bldg. no12007/02/01

【作品】東京大学工学部1号館改修
    Engineering Bldg. 01 (renovation & addition),
    The University of Tokyo,1993-1996
【設計】東京大学工学部建築計画室
    +東京大学施設部+環境造形研究所
【担当】香山壽夫+岸田省吾+駒田剛司+野上恵子+岩城和哉+他
    (東京大学工学部建築計画室)
【参照】SD別冊28号pp.158-159、JA26号pp.16-29、新建築1997年3月号
【解説】
 建築および土木学科を収容する建物の改修と増築。既存建物は内田祥三設計によるいわゆる内田ゴシックの代表作のひとつ。ここでは、既存建物の一部を取り壊した上で増築する従来の方法ではなく、可能な限り既存建物に手を加えなずに増築をおこなう手法が採用されている。すなわち、二つの中庭に鉄骨造の床と屋根が新たに挿入され、建物背後では既存部を包むように増築がおこなわれている。
 このような増築手法の採用により、既存部分と増築部分とが接続された単純な空間構成ではなく、両者が重層する複雑な空間構成が意図され、既存建物の外壁であったスクラッチタイル壁が新たに増築部の内壁として現れたり、あるいは新旧が交錯する回遊性のあるサーキュレーションが形成されたりするなど、随所に重層による空間効果が実現されている。

U-Tokyo, Eng. Bldg. no22007/02/01

【作品】東京大学工学部2号館改修
    Engineering Bldg. 02 (renovation)
    The University of Tokyo,1998-2000
【設計】東京大学工学部建築計画室+東京大学施設部+類設計室
【担当】岸田省吾+駒田剛司+岩城和哉+山下晶子+宮部浩幸
   (東京大学工学部建築計画室)
【参照】新建築2000年10月号pp.126-135
【解説】
 1923年の関東大震災直後に竣工した内田ゴシック初期作品の改修プロジェクト。この建物は震災前後の意匠的変容のまさに変曲点に位置しており、その意匠は内田ゴシック的でありながら同時に明治期の建物の面影を想起させる。震災以前の構造基準で設計されているため、あらゆる部材がその後に展開されるスクラッチタイル貼りの盛期内田ゴシック作品よりも繊細でほっそりしている。
 設計においてはまず建物の観察と読解が慎重におこなわれた。その上で箇所ごとに現状保存、復元保存、補修、新旧の融合、新旧の対比、刷新といった具合に改修の程度が選択され、建物が本来備える建築的ポテンシャルが最大限引き出されるよう微調整が加えられている。
 外観については安田講堂前広場の重要な景観要素である外周壁は建具廻りをのぞいて極力オリジナルの意匠が尊重されている。一方、中庭側壁面は空調や実験のためのメカニカルシャフトとして積極的に利用されている。この改修工事は工学部新2・3号館プロジェクトの第一期工事であり、二期工事以降、建物の北半分の建て替えがおこなわれ、中庭は内部化されて工学部地区の中心的なオープンスペースとなる。また、工学部共通スペースである建物1階にはレストランや展示室、セミナー室が収容されている

U-Tokyo, New Univ. Hall2007/02/01

【作品】東京大学赤門前共同利用施設
    New University Hall, The University of Tokyo, 1996-1997(project)
【設計】東京大学キャンパス計画室
【担当】香山壽夫+岩城和哉
【参照】JA26, pp.170-171
【解説】
 現医学部本館の機能転用とそれにともなう建物の改修・増築計画案。本郷キャンパスを南北に貫く緑地軸に対して直交する3本の主軸(農学部正門−農学部3号館、正門−安田講堂、赤門−医学部本館)の1本としてキャンパス内でも特に公共性の高い位置にある建つ医学部本館は、利用計画要綱において医学部施設整備が進んだある段階で共同利用施設へと転用されることが定められている。この計画案は大学附属図書館整備ワーキングにおける検討案のひとつとして作成されたものである。
 この案ではまず、その配置に関してキャンパスの主要軸線の焦点のひとつに附属図書館が置かれることにより、安田講堂と並んでキャンパスの核となることが意図されている。建築的には利用計画要綱で保存外壁に指定されている正面ファサード部分が保存され、その背後に建てられる中高層棟との間にアトリウムが設けられる。
 アトリウムは北側の三四郎池に対して開かれた構成をとり、そこに架かるガラス屋根は池からの景観に配慮した形状となっている。アトリウムからは池越しに安田講堂を望むことができる。中高層棟の高さを抑えるために可能な限りアトリウムおよび前庭の地下部分において床面積が確保され、その採光のための開口がアトリウムや前庭においてベンチやオブジェの役割を担うようデザインされている。

U-Tokyo, Sign + Message Board2007/02/01

【作品】東京大学本郷キャンパス案内板+掲示板
    Sign & Message Board
    The University of Tokyo, 1998-2002
【設計】東京大学キャンパス計画室+東京大学施設部
【担当】岸田省吾+駒田剛司+野上恵子+岩城和哉
   (東京大学工学部建築計画室)
【参照】新建築2000年10月号p.134
【解説】
 キャンパス各所にある案内板、掲示板、サイン類の再整備計画。既存のサインボード類は大きく以下の二種類に分類される。すなわち、建物と同種のスクラッチタイル貼のコンクリート製サインボードとそれ以降に個別に設置されたサインボード類。前者については、外部空間の主要な構成要素として不可欠であるものについては保存・改修がおこなわれ、それ以外については漸次、新たにデザインされたサインボードへと取り替えられた。
 正門や農学部正門の両脇にあるスクラッチタイル貼りの掲示板兼案内板は、周囲の外部空間にとって主要な景観要素であると判断され、保存・改修された。スクラッチタイルは補修され、サインボードはコルクボードの上にステンレス製パンチングメタルが張られた掲示板と強化ガラスにシルクスクリーンによる地図が印刷された案内板とが組み合わされた複合板へと取り替えられた。
 一方、赤門や龍岡門付近には新たにデザインされたステンレスフレームと強化ガラスによる製図板型の案内板が設置され、また、第二食堂前や大講堂南広場にはコルクボード+ステンレスパンチングメタル製掲示板が円筒形に丸められ、上部にガラスの庇のついたコンパクトな自立型サインボードが新たに設置された。

U-Tokyo, Takeda Bldg.2007/02/01

【作品】東京大学武田先端知ビル
    Takeda Bldg., The University of Tokyo,2000-2003
【設計】東京大学工学部建築計画室
    +東京大学施設部+現代計画研究所
【担当】岸田省吾+岩城和哉+宮部浩幸+内海彩
    (東京大学工学部建築計画室)
【参照】新建築2004年10月号
【解説】
 本郷キャンパス浅野団地に建つ複合研究施設。個人の寄付によって建設され、寄付者個人の名が建物名称に取り入れられた最初の例となった(安田講堂は通称であり、正式名称は大講堂)。地階に本格的なクリーンルーム、1階から4階に研究室、5階と6階に350人規模のホールとホワイエが収容されている。
 異種機能が立体的に積層された主構成に対して並列に設けられた6層の吹抜空間−インタラクション・ヴォイド−が建物としての一体感の創出に寄与している。このインタラクション・ヴォイドには移動のための階段と踊場、あるいは研究者の息抜きと交流のための談話スペースが立体的に配されており、空間に適度なアクティビティと浮遊感が発生することが意図されている。また研究室側には建物を縦に貫く設備シャフトが構造スパンごとにリズミカルに設けられ、グレーチング貼りの壁面は吸音面としての機能を併せ持っている。
 外観を特徴づけているのは、吹き抜けのある北面のガラスカーテンウォール、他の三面を覆う鋼製のグレーチング・スクリーン、建物頂部の設備機械設置スペース(通称、鶏冠)等である。特に圧倒的な表面積を占めるグレーチングは溶融亜鉛メッキの上にリン酸処理を施すことで色合いと光沢の調整がおこなわれ、角度や距離によって建物の形象が変化して見えることが意図されている。

U-Tokyo, New Eng. Bldg. no22007/02/01

【作品】東京大学総合研究棟(工学部2号館増改築)
    Engineering Bldg. 02 addition
    The University of Tokyo,1991-2005
【設計】東京大学工学部建築計画室+東京大学施設部+類設計室
【担当】岸田省吾+岩城和哉+宮部浩幸+木内俊彦
   (東京大学工学部建築計画室)
【参照】SD別冊28号pp.160-161、JA26号pp.168-169
    新建築2000年10月号p.131、新建築2007年5月号
【解説】
 本郷キャンパス再開発計画における工学部地区の最も重要なプロジェクト。現在の工学部2号館、3号館の敷地を一体的に開発し、最終的に7万平米規模の巨大研究施設の建設が予定されている。現在、2号館部分の約3万平米分の予算が確保され、この部分の実施設計が完了し、工事が着工された。
 すでに改修された旧館の南半分が保存され、それに重なるように南北で対になった地下2階地上12階の新築部が建設される。南棟は旧館中庭に二列の巨大な組柱を建て、その上に旧館を跨ぐように上層ボリュームが張り出す大胆な構成となっている。張り出し部の先端は振動への配慮からW形の柱によって支えられる。北棟は高層部は南棟とほぼ同様のボリューム、低層部はガラスカーテンウォール張りの透明なボリュームによって構成される。
 これら二棟のあいだにアカデッミックヴァレーと呼ばれるアトリウム空間が設けられ、そこから内部化された旧館中庭−工学部フォラム−へと空間が連続的に繋がってゆく。構造的には南北両棟を一体化し、適当な位置に制震ブレースを設ける方法が採用され、構造的な制約によって機能的なフレキシビリティが損なわれることのないよう配慮されている。将来的にはアカデミックヴァレーは新3号館へと延長され、最終的に長さ約130メートルにおよぶ内部化されたオープンスペースが形成される予定である。