IWK_HP

【作　　品】YKC_横地邸（改装）
　　　　　　Yokochi_residence,renovation,2001
【設計監理】岩城和哉＋宮部浩幸＋内海彩
【作品解説】
　港区白金台に建つマンションの住戸改装プロジェクト。空間を特徴づけているのは室全体を貫く１枚のななめ壁。このななめ壁が置かれることによって、マンション対面に建つ屋敷の樹々の方向へと視線が導かれ、空間の拡がりが感じられるよう工夫されている。玄関から前面の大きな開口へと至る視線の展開と空間の拡がりが模型を使ってスタディされ、壁はちょうど10°の角度で固定された。
　さらに既存の大梁がななめ壁と並んで空間を特徴づける主要な空間要素として利用された。階高が2.7mに抑えられているためにフロアレベルから1.9mの高さにその下端が位置する大梁の存在感は圧倒的であった。ともすれば邪魔きわまりない大梁は空間要素として積極的に活用されている。壁や建具は可能な限り梁と絡まないように設置され、大梁は一種のオブジェ的要素として扱われれた。
　ななめ壁と大梁。両者は鋭い対比をなしている。梁は空間に適度な陰影を生み出し、一方、ななめ壁はそこへ柔らかな光を導く。梁は空間を複数の場に分節し、一方、ななめ壁はそれらを再び柔らかくつなぐ。これら相反する性質をもつ２つの要素の共演によって、空間に不思議な距離感、あるいは、遠近感が創出された。